「人工透析で障害年金を請求できるのですか?」

『人工透析を受けていますが、障害年金を請求できるのでしょうか?』という質問を受ける機会が多いです。人工透析を受けている方は障害年金の2級に当たるのですが、意外と知らない方は多いです。基本にかえって、人工透析で障害年金を受けるにはどうすればいいか考えていきましょう。

人工透析「障害年金を受けれるか?」

人工透析を受けている方は、納付要件さえあれば、障害年金2級をもらえるということを知らない方はまだまだいらっしゃいます。本当です。最近もそういう方に逢いました。名前を仮にAさんとしましょう。人工透析を初めて8年以上になる方です。その方は障害者手帳を取得していたのですが、役所は何も教えてくれなかってそうです。Aさんは筆者の事務所の「障害年金無料相談」で知り合ったわけではありません。たまたま知り合う機会があり、色々しゃべっているうちに、人工透析を受けているということを知りました。Aさんは現在57歳です。青果店を経営しているのですが、週3回の透析で時間を取られて、業務にはかなり支障がでています。息子さんがほぼ仕切っていて、奥さんも可能な限店を手伝っています。『Aさんは、障害年金を受けているのですか?』という筆者の質問に対して、Aさんは『障害年金って何ですか?』と返してきました。筆者は驚きました。Aさんは障害年金の存在じたい知らなかったのです。これだけインターネットで障害年金の情報があふれているのにです。人工透析をうけていれば障害年金の対象になるということすら知らない方がまだまだいるのです。筆者は雑談のついでで、障害年金のことを少し話しました。『人工透析を受けていたら障害年金を受けれるの?』とAさんの驚きは隠せませんでした。

「人工透析療法施行中のもの」

腎疾患による障害(認定基準)

障害認定基準の第12節/腎疾患による障害には以下の記述があります。

(7) 人工透析療法施行中のものについては、原則として次により取り扱う。
ア 人工透析療法施行中のものは2級と認定する。
なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、長期透析による合併症の有無とその程度、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。
イ 障害の程度を認定する時期は、人工透析療法を初めて受けた日から起算して3月を経過した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする

つまり、つまり人工透析を受けているという事実で、障害年金2級をもらえるのです。先のAさんですが、そのことを全く知りませんでした。障害者手帳もずいぶん前に取得しているのにかかわらず、役所は何も教えてくれなかってそうです。透析を受けている病院からも何も教えてもらえなかった、Aさんはそう言っていました。ちょっと寂しい気もしますが、知らなかったことは仕方ありません。Aさんは、現在S市の市内に3件の八百屋を出店しています。創業20年以上になります。ずいぶん前に法人登録しています。腎機能に異常を感じたのが10年くらい前で、初診日は厚生年金でした。人工透析を受ける2年前です。障害認定日には人工透析も受けておらず、それほど症状も悪化していなかったとのことで、障害年金は事後重症請求となります。もし8年前に人工透析を受け始めた時に障害年金の存在を知っていれば、その時期から障害厚生年金を受給できていたのです。ざっと計算してみましたが、8年で800万円ほどの「損失」でした。やはり、知らないというのはこわいことなのです。

人工透析「障害認定日は?」

ところで、人工透析を受けている人が、障害年金を請求するタイミングはいつなのでしょう。よく、人工透析を受ける方の障害認定日は、透析を受けてから3ヵ月経過した日という情報が流れていますが、それは若干違います。初診日から1年6か月を経過する以前の場合がそうなのであって、1年6ヵ月を超えていれば、透析を受けはじめたら、3ヵ月経過しなくても障害年金を請求することができるのです。このあたりを少し誤解している方が多いのであえて触れておきましょう。これは請求者のみならず、役所の担当者も間違えることがあるので注意です。この前もこんなことがありました。障害認定日から5年以上経過した方が透析を開始したので、病院に障害年金の診断書をもっていき、記入の依頼をしたのですが、そこの病院の相談員さんが『○○さんは、透析を初めて2週間ですから、障害年金の診断書を書くことはできません。』と断られたのでした。筆者も何も考えず『ああ、そうでしたね。人工透析を受けて3か月経過しなければ、障害年金の対象とはなりませんもね。』と引き下がってのですが(そういう意味では筆者も間違っていますね)、筆者の事務所に戻って、よく考えてみらば、初診日から1年6ヵ月(原則的な障害認定日)を経過していたら、人工透析をはじめて3ヵ月経過せずとも障害年金は請求可能なのです。もう一度その病院に戻り、障害認定基準のコピーをもって、診断書の記入を依頼したところ、快く診断書を記入してくれました。このあたりのことは案外間違いやすいので注意しましょう!

腎移植「障害年金どうなる?」

一度人工透析を受けると未来永劫、障害年金を受けることはできるのでしょうか?そういうわけではありません。障害認定基準には以下のような記述があります。

腎移植を受けたものに係る障害の認定は、本章「第18章/その他の障害」の認定要領により認定する。

腎臓移植の取扱い
ア 腎臓移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定する。
イ 障害年金を支給されている者が腎臓移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級とする。また、腎障害など内科的疾患の場合は、症状固定が条件の障害手当金は支給されません。 内科的疾患の場合は、症状が固定したとされることが医学的にないと考えられるからです。

つまり、腎移植を受けた場合は、術後1年ほど経過した頃に、その症状を見きわめたうえで、再度認定を行うということになります。人工透析を行っているころには障害年金をもらっていなかった方が、腎臓移植をした後に障害年金の存在を知り、請求を試みる方がいますが、症状が改善していることにより、障害年金が不支給となってしまうことがあります。また、透析で障害年金を受給している方が、腎臓移植をし、支給停止や減額処分となってしまうこともあります。

障害年金と身体手帳

人工透析の扱いの違い

障害者手帳と障害年金を同じくとらえる方はまだまだ多いです。身体障害者手帳とは、身体障害者福祉法にのっとった「障害認定基準」にあてはまる方に交付されます。身体障害には等級が定められていて、1級~6級に区分されていて、等級によって、それぞれ福祉サービスを受けられます。いっぽう障害年金は国民年金法・厚生年金保険法にのっとり、権利のある方が受給できます。 人工透析を受けられる方は身体障害1級の申請ができます。しかし、人工透析を受けていても、障害年金は2級になる方がほとんどです。この辺を勘違いしている方がいるので気をつけましょう。

それにしても、障害年金のことを知らない方はまだまだいらっしゃいます。筆者も含め、障害年金の「現場」に携わるものは、まだまだぢょりょくが足りないのかもしれません。本来受給すべき方が受給できるように、頑張らなければならないかもしれません。

「人工透析で障害年金を請求できるのですか?」

現在でも、この質問よくうけます。これだけインターネットで障害年金の情報を得られる環境にある昨今でも、まだまだ障害年金の存在を知らない方は数多いのです。人工透析を受けている方は、「納付要件」さえあれば障害年金2級は受けれます。これは間違ありませんが、透析を受けて8年間経過していて、それを知らない方に、つい最近逢いました。

 

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